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リリーのすべて
2017.03/07 (Tue)
リリーのすべて (2015年 監督:トム・フーパー 出演:エディ・レッドメイン、アリシア・ヴィキャンデル)
この映画は世界初の性別適合手術を受けたデンマーク人画家リリー・エルベと
その妻ゲルダの実話を描いた作品です。
物語は・・・
1926年のデンマーク。肖像画家のゲルダ・ヴェイナー(アリシア・ヴィキャンデル)は、
風景画家の夫・アイナー(エディ・レッドメイン)と暮らしていた。
ある日、ゲルダが制作中の絵のモデルが来られなくなりアイナーに脚部のモデルを頼む。
その時アイナーは、自身の内面にある女性の存在を感じ取る。
後日、ゲルダは冗談でアイナーを女装させ「リリー」という女性として
パーティーに連れて行くが、リリーが男性と親しげにする姿に当惑する。
しかもアイナーはその後もリリーとして男性と密会を続けていた。
一方、ゲルダはリリーをモデルとした絵を描き画商から評価を受ける。
アイナーに対してゲルダは自分の前では男でいることを望むが、アイナーはよい答えをせず、
それどころか実は子どもの頃から自分の中に「リリー」はいたと打ち明ける。
やがて、アイナーは「リリー」として過ごす時間が増え、絵を描くこともやめてしまう。
ゲルダはアイナーを医者に診せるが、どこの医者も精神疾患という扱いしかしなかった。
そして、ゲルダの絵の引き合いがあるパリへ夫妻は移る。
パリにはアイナーの幼馴染みの画商ハンスル(マティアス・スーナールツ)がいて、
ゲルダはアイナーの真実を打ち明ける。
ハンスはゲルダの力になるべく数人の医師を紹介する。
その中にやっと「それは精神疾患ではない」という医師が現れる。
医師はアイナーに先例のない性別適合手術の存在を告げ、
アイナーは手術を受けることを決断するが・・・
というお話。

実は、観終わるまで実話がベースになっているとは知らなくて、
後でわかっていろんな思いが渦巻きました。
今でこそ性同一性障害は広く知られ理解者も多くなっていますが・・・
たしかに、そうですよね。今に始まったことではなく、
ずっとずっと昔から苦しんでいた人はいたわけで、
手術だって一番最初にチャレンジした人がいて現在に続いているわけで・・・。
アイナーの苦しさはわからなくもないし、気の毒に思えました。
そして、女性へ変わっていくアイナーを見捨てずに献身的に尽くすゲルダの姿に
愛情の深さを感じジーンときました。
これは性別がどうであろうと、それを越えて愛し支え合う
ものすご〜く大きな人間愛なんだわ〜 と思いました、最初はね。
でも、でもね、観終えてからどんどん時間が経つにつれて、
どんどんアイナー(リリー)に対する腹立たしさが増してきました。
観た直後はアイナー(リリー)の気持ちもわかってあげてるつもり(!)でしたが
振り返ると振り返るごとにネガティブな感想がモクモクとふくれあがる。
女であることに目覚めてからのアイナー(リリー)は自分のことばっかりで、
ゲルダに対する思いやりの欠片もない。
夫としてのアイナーにほんの少しでも会いたいというゲルダの願いも聞き遂げず、
絵も描かなくなったくせに服装は派手になり、
回復も充分でない身体で早くアイナーを抹殺したいと次々手術を受ける。
あぁ〜、好きになれないコイツ。


その点、ゲルダはいじらしいよ。ゲルダを演じたアリシア・ヴィキャンデルが良かった。
この女優さん今まで知らなかったけど、すごく好きなタイプ。
映画中の彼女のファッションもヘアスタイルも好き好き〜。

それに比べて、エディ・レッドメインは快演だったけど
(いや、どう見ても男にしか見えん。私には)・・・うーむ。
すごく問題作・・・なんかモヤモヤしちゃう。
そういう意味では内容的にも、そして映像的にも非常に美しく見応えがありました。
★★★★☆
原題: The Danish Girl
