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ターミネーター:ニュー・フェイト
2019.11/30 (Sat)
ターミネーター:ニュー・フェイト (2019年 監督:ティム・ミラー 出演:リンダ・ハミルトン、アーノルド・シュワルツェネッガー、マッケンジー・デイヴィス、ナタリア・レイエス、ガブリエル・ルナ)
やっと観てきました。面白かった!
私はシリーズの1と2しか観ていないのですが、ニュー・フェイトを観る前に
再度1と2を観直してから映画館へGo!
久しぶりに歳を重ねたサラ・コナーに(何故か老齢の?ターミネーターシュワちゃんにも)
会えたのが嬉しかった!
物語は・・・
人類滅亡の日である「審判の日」は回避されたが、危機は去っていなかった。
2020年、メキシコシティに暮らしていた女性ダニー(ナタリア・レイエス)の元へ
未来から最新型ターミネーターREV-9が現れ、彼女の命を狙う。
一方、同じく未来からやってきた女性戦士グレース(マッケンジー・デイヴィス)が
ダニーを守るためにREV-9と壮絶な戦いを繰り広げる。
ダニーとグレースが追いつめられたその時、かつて人類を滅亡の未来から救った
サラ・コナー(リンダ・ハミルトン)が現れる。
何故サラはそこへ現れたのか? それは・・・
というお話。
「T2」の正当な続編として描かれるというので、
いったいその後のジョンはどう成長していったのか、
ターミネーターシュワちゃんはどんな形で登場するのかと思っていたら・・・
えっ?!まさかの展開。
ここには書けないけど、そう来るわけね?とビックリ。
ジョンのことはサラには同情するけど、それは有り得るストーリー展開とも思えました。
そして、なるほど〜、シュワちゃんのT800型ターミネーターは
そもそもが人間に近い学習能力を持ちあわせているってことなのかしら?
そう考えて観ると、本作の設定は有りか〜〜〜?!
って、観ていない人にはナンノコッチャですよね(汗)
追っ手が現れては逃げてのストーリーは焼き直し的で新し味に欠ける
という感想も巷にはありますが、私はそれでも十分面白かったです。
だって、それがザ・ターミネーターだ!って思うから。
それに新しいキャラクターだって出てきましたしね。
結局、たとえ未来を変えても人間のやることは似たり寄ったりで、
同じような過ちを繰り返しがちだって警告もテーマの一つなのでしょうか。

しかし、お久しぶりのサラ・コナーは年老いても強くてかっこよかった!
「T1」の初っぱなのサラからは本作のサラは想像が出来ませんでした。
とても感慨深いです。使命感を抱くと女は強くなれるのかもしれない。
ダニーも将来の自分の姿をグレースに聞いてからは顔つきが違ってきたものね。
その変化が観ているこちら側に伝わってくるのが素晴らしい。
そして今回新たに現れた女性戦士グレース(マッケンジー・デイヴィス)が
美しくてかっこいいことこの上なし!
ああ、女性が強く逞しい映画って大好き。
私もあと30年若かったら空手とか習って強くなりたかったわ〜。
今からじゃ怪我のもとだわね。

一つだけ、この映画の一番の突っ込みどころは、
最後にグレースの体内の動力源を用いてREV-9を倒すんだけど(ネタバレすんません)
でもさ、それが有効なら未来からその動力源をいくつか体内に仕込んで
持ってくればよかったのに〜?最初からそれ使って闘った方が手っ取り早かったんじゃ?
うーむ。ま、面白かったから細かいことはいっか。
もうすぐ劇場上映終了?まだ観ていらっしゃらない方はお急ぎくださ〜い。
★★★★☆
原題:Terminator: Dark Fate
イエスタデイ
2019.11/09 (Sat)
イエスタデイ (2019年 監督:ダニー・ボイル 出演:ヒメーシュ・パテル、リリー・ジェームズ、ケイト・マッキノン、エド・シーラン)
先々週観てきた映画です。もっと早く書きたかったけど、
いろいろとあって落ち着かない日々が続いていたので今日になりました。
こ、れ、が、めちゃくちゃ楽しい映画でした!
物語は・・・
イギリスの海辺の町に暮らすシンガー・ソングライターのジャック(ヒメーシュ・パテル)は
親友エリーに献身的に支えられて(マネージャー兼ドライバー)活動していたが
全く売れず夢を諦めかけていた。
そんなある日、世界規模で起きた12秒間の停電が原因で交通事故に遭い、
昏睡状態に陥り入院する。退院後、快気祝いで集まった友人達へ
お礼を込めてビートルズの「イエスタデイ」を弾いて聴かせる。
ところが、友人達の反応がおかしい。友人達はまったくビートルズを知らない様子。
異変に気がついたジャックは、帰宅後ネットでビートルズを検索。
しかし、ビートルズに関する情報は全くヒットしない。
世界で最も有名なバンド「ビートルズ」が存在しない?!
ビートルズの名曲を覚えているのは、世界でジャックただ一人?!
ジャックはビートルズの曲を歌って成り上がろうとするが・・・
というコメディ。

すごく楽しい映画でした。
全編、ビートルズの歌が流れ、ビートルズに馴染みの深い世代にはウキウキの映画です。
字幕で歌詞が出るでしょ、ああ、本当に曲だけじゃなくて歌詞もいいなぁ〜と
再認識させられるというか、最高でした。
ビートルズだけじゃなくて、その世界にオアシスやコカコーラが存在しないなど、
何故そこ?と笑える事象もあって面白かったです。
この映画、英語が達者ならきっと撒き散らされているであろう微妙な表現や
笑いのツボをキャッチできて何倍も楽しいだろうなぁ。
あ、私は英語だけでなく今時の洋楽にも疎いので存じ上げませんでしたが
エド・シーランも本人役として出演しております。

で、ジャックは大スターに成り上がってボロ儲けしたかって?
ビートルズのメンバーはその世界に存在しないのかって?
ふふふ、様々な疑問が浮かんでくるでしょう。
その答えを知りたかったら映画を観てくださいませ。
ああ、でも本当に、もしビートルズを世界中が知らなくて
私だけが知っていることになったらどうしよう?!
・・・ああ、駄目だ。完璧に頭に入っている曲が一つも無いよ。
ビートルズ最高!好き!と言っているくせに知っているのは出だしとサビだけだよ。
私だと何も残せない。
私じゃなくてジャックがビートルズという人間世界遺産(勝手に命名)の片鱗を
残してくれて嬉しいよ!って思うんだけど、この部分も重要なプロットとして出てきます。
ストーリー的にはね、あんまり捻りを感じないかもしれないけど、
幼馴染エリーとの恋の行方も並行して描かれていて
観終わって映画館を出る時、ほんわかした気持ちで鼻歌まじりで帰れること請け合いです。
只今、絶賛上映中!是非、映画館で観てほしい作品。
★★★★☆
原題:Yesterday
ミス・シェパードをお手本に
2019.09/01 (Sun)
ミス・シェパードをお手本に (2015年 監督 :ニコラス・ハイトナー 出演:マギー・スミス、アレックス・ジェニングス)
ヘンテコ映画系が好きで、度々そういった作品の紹介をここに書いているけど、
この映画もまたヘンテコ系に認定するとしよう。
ホームレスの老婆に15年も自宅の庭先に居つかれた劇作家の話だけど、
これが実話というんだから吃驚だ。そして、呆れたし、笑ったし、涙もさそわれた。
うん、私は好きだ。
お話は・・・
ロンドンのカムデンに居を構える劇作家のベネット(アレックス・ジェニングス)は、
オンボロのバンに寝泊まりするミス・シェパード(マギー・スミス)が
違法駐車で退去を命じられ困っているのを気にかけ、
周囲の心配をよそに数ヶ月の約束で自宅敷地の一角を提供した。
その結果、ミス・シェパードは15年も居ついてしまうことになる。
ベネットは彼女の偏屈さに振り回されつつ、奇妙な “共同生活" は続き、
次第に彼女の心の闇を理解しようとする。
そして最期に、ミス・シェパードの波乱の人生を知ることとなる・・・
という事実は小説より奇なりな物語。

いや〜、普通、そういうホームレスの老婆がいたら通報されて
強制的に施設送りになるんじゃないかと思うけど、
アレックスをはじめカムデン・タウンの近隣の住民たちは
なんだかんだ迷惑そうにしながらもシェパードさんのことを気にかけていて
無理やり排除しないところがキリスト教社会ゆえのことなのか、
生活にゆとりがある人々の地区だからなのか、
昔の日本の長屋的あたたかい空気が漂っていて好感が持てるところなのだ。
だがしかし、たぶん私だったら自宅の敷地をシェパードさんに提供したりしない。
だって、シェパード婆さんときたら、決してお礼や詫びを言うことがないんだもん。
神様にしか感謝も詫びもしないんだと。
アレックスが心の中で「絞め殺したくなるくらい気分悪い」と思いながら、
なぜ彼女に敷地を提供したかといったら彼の職業(劇作家)のネタになりそうと思ったのと
実の母親を世話してあげられない呵責からかなぁ。

それにしても闇に隠されたシェパードさんの人生は波乱万丈だった。
若かりし頃、見事なピアノの腕前を持ちながら
何故修道女になろうと思ったのか?
そこが一番の謎の根幹だったが、観ていて最後までわからなかった。
きっと誰もわからなかったことだから描かれていないんだろうと思う。
ああ、知りたかった。残念。

この映画はコメディドラマの部類として扱われているらしいが
ずっとヒューマンドラマとして観ていた。
が、最後のシーンで、はい、どうしてもコメディにして終わりたいのね、と思った(笑)
そこらへんも私がヘンテコ系に認定した所以でもある。
シェパードさんを演じたマギー・スミスが素晴らしかった。
演じた時、マギー・スミス81歳。
舞台版でも同役で16年間主演を務めていたとの事。イギリスの森光子か?!
舞台版作品の邦題は『ポンコツ車のレディ』なんだけど、
なんで映画の邦題を『ミス・シェパードをお手本に』したんだろね?
何もお手本にしたいことなんかないのになぁ。
★★★★☆
原題:The Lady in the Van
永遠のこどもたち
2019.07/05 (Fri)
永遠のこどもたち (2007年 監督:J・A・バヨナ 出演:ベレン・ルエダ、ジェラルディン・チャップリン、マベル・リベラ、ロジェール・プリンセプ)
『パンズ・ラビリンス』『シェイプ・オブ・ウォーター』のギレルモ・デル・トロが
プロデュースした作品というので手に取りました。
ポスターもデル・トロっぽくて、うん、これは私好みかも〜と思って観たら、正解。
お話は・・・
海辺の孤児院で育ったラウラ(ベレン・ルエダ)は、
夫のカルロス(フェルナンド・カヨ)と7歳の息子シモン(ロジェール・プリンセプ)と共に
長く閉鎖された孤児院を買い取り移り住む。
そこはかつて自分が育った孤児院で、障害のある子ども達の施設にしようと考えていた。
ラウラが開園準備を忙しく進めている中、シモンが空想上の友達と遊んでいる姿に
次第に不安を感じ始める。
そして、開園前のパーティーの日、シモンが忽然と姿を消してしまい・・・
というスペイン発のホラー映画。
と言っても、ファンタジー寄りのホラーで、ホラー苦手の私でも大丈夫でした。
夜中にトイレへ行けなくなったりはしません(笑)
さて、息子シモンの姿が消えてから、母のラウラはそれはもう必死に探すんです。
なにしろ姿を消す直前にシモンを叱責していたので、それがとても悔やまれて・・・
ああ、その気持ちよく分かります。嫌ですよね、最後の記憶がそれでは。
奇しくも、この記事を書こうと思った日にYahoo!で、
親子喧嘩の後で家を飛び出した少年が行方不明になり
7年経った今も失踪したままで母親ら家族が探し続けているという記事を読みました。
劇中のラウラの苦悩とオーバーラップしたのですが、現実にそんなことがあるんですね。
ご家族の心配と悲しみはいかばかりでしょう。
映画の中では、夫はラウラが思いつめる姿を見て、
妻の精神状態を案じて探すのを諦めさせようとします。しかし、ラウラは諦めません。
たぶん世の母親のほとんどは諦めないと思います。私も絶対そうだ。
夫が館を出て一人になったラウラは、スピリチュアルな手を使ってでも
息子を見つけるヒントを得ようとします。
すると、自分の子ども時代に共に孤児院で過ごした当時の友達(死者たち)に導かれて
シモンの行方を知ることとなります。
そして同時に、なぜ彼らが死者となってそこにいたのかも。

結果的に哀しい終わり方になるのですが、悔しさと一緒に不思議な安堵も感じました。
すべて「母親が子を思う強い愛情」が発端となり事が起来ていたのですが、
それはキモなのでここでは明かしません。
観終わった後で、様々な伏線があったことに気づかされます。
母親の子どもへの愛情の深さと、最後まで諦めない強い気持ち、
いや、最後を通り過ぎても強い思いが昇華されずにいると
時には周囲に災いを及ぼす怨恨となって残ることもあるんだなぁ・・・
怨恨なんて嫌だけど、同情の余地はあるなぁと思ってみたり。
そんな感想の残る映画でした。

ヨーロッパの古い館の何か出そうな雰囲気はさすがで、
一緒に観ていたツレアイはアメリカ映画のホラーよりリアルでおどろおどろしい
と言っていました。(ツレアイは私以上にホラー苦手 笑)
さらに、東西を問わずホラーに出てくる子どもの遊びは怖いな〜と思いました。
「だるまさんがころんだ」と同様の遊びが出てくるのですが、
スペインにもそっくりな遊びがあることを興味深く思うと同時に
あのシチュエーションで「だるまさんはころんだ」はさすがに怖いよ〜とビビりました。
デル・トロ風味のダーク・ホラー・ファンタジー(と言いましょうか)
これから暑くなる季節にいかがでしょうか?
★★★★☆
原題:El Orfanato
月に囚われた男
2019.05/23 (Thu)
月に囚われた男 (2009年 監督:ダンカン・ジョーンズ 出演:サム・ロックウェル、ロビン・チョーク、ケヴィン・スペイシー)
少し前に観たんだけど、面白かったので書いておこうと思う。
本作は、デヴィッド・ボウイの息子であるダンカン・ジョーンズの
長編映画監督としてのデビュー作。
ってだけでも、ちょっと観たくなっちゃうよね。
物語は・・・
近未来。サム(サム・ロックウェル)は地球の主要エネルギー資源を採掘するルナ産業と
3年契約で月にたった一人で仕事に就いていた。地球との直接通信は許されず、
話し相手は人工知能コンピュータ(ケヴィン・スペイシー)だけ。
任務終了まで2週間を残したある日、サムは体調を崩す。
その症状悪化のため、勤務中に致命傷に近い事故に起こしてしまう。
基地での療養中にサムは自分と同じ顔をした人間に遭遇する。
彼はサムが3年前に交わした同じ契約を履行するためにいると主張する。
何が起こっていて、会社の目的は何なのか?
サムは自分に残された時間と戦いながら探っていく・・・というお話。

要するに、サムは会社によって利用されているクローンで、
耐用年数がきたら次の新しいサムに取っ替えられるってわけなのよ。
クローンの悲哀を描いた映画はいくつもあるけど、地球帰還後に妻と幼い娘に会うことを
励みに働いてきたサムもまた本当に気の毒な話。
作られた記憶をよすがに生きる、それもたった3年の生命って残酷すぎる。
クローン人間に人権は無いのか?!・・・なんてロクに知識もない私が話を広げたら、
ややこしくなるだけなのでここらで止めますが。
しかし、オリジナルのサムは何故自分のクローンを作ることを会社に認めたんだろう?
あ、会社が承諾もなく勝手にサムのクローンを作ったのかな?
ともかく、いろいろとブラックな面を持つ会社であることは疑いようがない。

ケヴィン・スペイシーが声の出演をしている人工知能コンピュータ(ロボット)が
低予算で作製された映画だから何なのか、ニコニコマークみたいなのが付いた
一見安っぽい感じなんだけど、こいつが最後の方でいい仕事して、
無機質で切羽詰まった状況に気持ちが温まる瞬間をもたらしてくれて、あぁ良かった。
たとえ相手がロボットであろうと動物であろうと人間は生きていく上で
交流を持てる誰かが必要だとこの作品を観て思った。
宇宙を舞台にした映画は大大大好きだけど、
観るたびに「あぁ絶対に宇宙へは行きたくない」と思う。今回も同じく。

さて、監督のダンカン・ジョーンズは、本作の後、『ミッション: 8ミニッツ』(2011)を
撮っていて、これもまた面白かった。こちらはループもののSFサスペンス。
続けて観るのもおすすめ。
★★★★☆
原題: Moon
