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グランド・ジャーニー
2021.03/07 (Sun)
グランド・ジャーニー (2019年 監督:ニコラ・ヴァニエ 出演:ジャン=ポール・ルーヴ、メラニー・ドゥーテ、ルイ・バスケス)
最近、ここに書きたくなるような映画に出会っていなかったのですが
久しぶりに良い映画を観たので書いておこうと思います。
“バードマン”の異名を持つ気象学者で、映画『WATARIDORI』の制作にも携った
クリスチャン・ムレクの実話を基に描いたドラマです。
どんな話かというと・・・
クリスチャンは変わり者の気象学者で、フランス・カマルダで雁の研究をしている。
そんな父とオンラインゲームに夢中な14歳の息子トマが大自然の中で過ごすことになった。
両親は離婚していて、母には新しいパートナーもいるが彼らの関係性は良好。
Wi-Fiも繋がりにくいド田舎で、暇を持て余したトマは父の研究を目にする。
父クリスチャンは、絶滅危惧種の渡り鳥に危険のない飛行ルートを教えるため、
人工孵化させた雁を自分が親だと思い込ませて(刷り込み)育て、
鳥たちと超軽量飛行機でノルウェーからフランスへ向かう計画を立てる。
そしてついに、成長した鳥たちと車でノルウェーに移動してフランスを目指そうとするが
役所の許可が下りない。クリスチャンが書類を偽造したことがバレて計画は頓挫する
と思いきや鳥たちを助けようとトマは単独で鳥たちと飛び立つが・・・
さて、トマは無事フランスまで飛べるのか?

うわあ〜、すごい。ヒナが孵化後に見た「動くもの」や「声を出すもの」を
親だと認識してついてまわる習性「刷り込み」は知っていたけど、本当なんだね!
こんなにも後をついて回るなんてかわいい鳥たち!と思わず感動。
こりゃ楽しいよ〜♪
トマの飛行機について飛ぶ鳥たちと眼下の景色は圧巻。『ニルスのふしぎな旅』みたい。

素晴らしい映像です。昔、BBCの動物のドキュメンタリーを観て
どうやってあんな至近距離から撮影したんだろうとドキドキしたものですが
それと同じような気持ちになりました。
この映画は映画館の大スクリーンで観たらもっと感動が大きかっただろうなぁ。
ほぼCG無しで撮影されたという映像は一見の価値ありです。
鳥好きなアナタやアナタに是非観てもらいたい作品です。
が、反面、ストーリーのフィクション部分には首をかしげたくなる部分も・・・。
だいたい書類を偽造して実行するとか、飛行機の免許を持っていない少年が飛ぶとか、
せっかくの鳥の渡りというノンフィクション部分に水をさすような設定が
個人的に気に入りません。そういう苦難や突拍子もない部分があった方が
ドラマチックな仕立てになると計算したのでしょうけど、う〜ん、なんだかなぁ。
それに最初、息子一人で飛ばせた元夫のことをさんざん責めていた元妻(母)は
トマが無事だと知ると応援し始め、だんだん成功に近づくにつれ元夫とも仲良くなっていく
・・・ってなんなのさ?
トマが無事かどうか不明の時点で、心配してやさしく声をかけた新しいパートナーには
「口を挟まないで!これは家族の問題なのよ!」と怒鳴るんだよね。
そんなもんだから物語の途中でパートナーは手紙と鍵を残して部屋を去っていくの。
かわいそうなパートナーくん。
だいたいさー、トマの飛行が成功したから満面の笑顔で親子三人仲良く抱き合って
エンディングを迎えられたけど、これが途中で事故って不幸な目にあっていたら
元夫のことをなじり倒していたでしょう?母親の都合の良さにちょっと引くわ。
と、フィクション部分でケチをつけちゃいましたが、
鳥たちとの関わりや映像の素晴らしさの点ではオススメします。観てほしいんです!
親子で安心して観られる作品です。
★★★★☆
原題:DONNE MOI DES AILES/SPREAD YOUR WINGS
道
2021.01/05 (Tue)
道 (1954年 監督:フェデリコ・フェリーニ 出演:アンソニー・クイン、ジュリエッタ・マシーナ、リチャード・ベイスハート)
ずっとずっと昔から観たいと思いながら何故か観ずにきたこの映画。
映画『道』のタイトルはフェリーニ監督の名前と共に知識としては知っていたし、
他の映画やドラマでも度々名前を耳にする機会があって、
よっぽど多くの人に影響を与えた作品なんだろうなと感じていた。
長いこと「どんな映画だろう。いつか観なくちゃ」と頭の隅で気になっていたのだが
またしても昨秋のテレビドラマ『35歳の少女』で柴咲コウ演じる主人公のセリフに
映画『道』のことが出てきて、そのテレビドラマも好きだったこともあって
もう、これは今観ろってことだ!なら、今観てしまおう。
ということで、ようやく古いレンタルDVDを手にしたのが昨年末のこと。
あらすじは・・・
貧しい家庭に生まれ育った知的障害のあるジェルソミーナ(ジュリエッタ・マシーナ)は
力自慢の大道芸人ザンパノ(アンソニー・クイン)に買われ、
彼の助手として旅回りに出る。
道化の格好で芸をするジェルソミーナは新しい生活にささやかな幸福さえ感じていたのだが
粗暴で女好きなザンパノに嫌気が差して彼のもとから逃げ出し、
街で陽気な綱渡り芸人イル・マット(リチャード・ベイスハート)に出会う。
結局、ジェルソミーナはザンパノに連れ戻されるが
二人はイル・マットのいるサーカス団に合流することになる。
イル・マットはザンパノと古くからの知人で何かとからかってはザンパノを逆上させる。
ある日、我慢の限界を超えたザンパノはナイフを持って追いかけ警察沙汰になり、
イル・マットとサンパノはサーカス団から追放される。
「自分は役立たず」と嘆くジェルソミーナに、イル・マットは
「世の中のすべては何かの役に立ち、ジェルソミーナも役に立っている。
それは神が知っている」と言い残して立ち去る。
その後、ジェルソミーナとザンパノは再び二人だけで旅回りをしていたが、
旅の途中、ザンパノはイル・マットを見かけ、仕返しする機会とばかりに撲殺してしまう。
ジェルソミーナは、イル・マットの死に放心状態となる。
ザンパノは、大道芸の助手として役に立たなくなったジェルソミーナを見捨て
彼女を置き去りにして去ってゆく。
何年か時が流れ、見知らぬ海辺の町に立ち寄ったザンパノは耳慣れた歌を耳にした。
それはジェルソミーナがよくラッパで吹いていた曲だった。
歌っていた町娘に尋ねると、ジェルソミーナと思われる旅芸人は死んでしまったと言う。
老いて芸もうまく行かなくなったザンパノは、海岸で一人、
嗚咽を漏らしながら絶望的な孤独感に打ちのめされる・・・

良い映画だった。
しかし、ジェルソミーナもザンパノも哀れだ。
貧しいがゆえに売られたジェルソミーナ。
それでも彼女なりに置かれた状況の中で幸せを見つけようとしていたのに。
「世の中のすべては何かの役に立っている」という言葉に救われ、
ザンパノの役に立とうと思っていたのに、粗野なザンパノは彼女の気持ちを踏みにじる。
あげくは心を病んだジェルソミーナを道端に捨てていった大馬鹿野郎のザンパノ。
そのザンパノも自分はどんなに孤独で、
実はジェルソミーナの存在がどれほど有難かったか人生の末路に至ってようやく気づく。
阿呆だ。
どうして人はこうなんだろう。
大抵の場合、失くしてからそれがどれだけ大事な存在だったかに気づく。
他者から受けるやさしさには無頓着で、というか感謝しない。
欲張りで、小さな幸せには目がいかない。
愚かで哀しい。

ジェルソミーナを演じたジュリエッタ・マシーナはフェリーニ監督の奥さん。
なんてはまり役なの!美人女優というわけじゃないのに
観ているうちに彼女の魅力にどんどん引き込まれる。素敵な人だ。
ずっと観たいと思っていた映画だけど、今この歳で観てよかった。
きっと若い時には気づけなかったことを今だからいっぱい気づけたんじゃないか
と思う(私の場合は)。
最後に、イル・マットとジェルソミーナのやり取りを書いて残しておこうと思う。
「君と俺が一緒になったら、綱渡りを教えるよ。俺の車で巡業するんだ。
世の中を楽しめる。どうだい?
それとも、いつまでもザンパノと一緒に苦労を続けるのかい?
ロバみたいにこき使われながら。
でも、お前もザンパノには何かの役に立っているんだろ?
ほら、前に逃げたときはどうだった?」
「ひどく殴られたわ・・・」
「奴はどうして君を引き戻したんだろう?俺なら一発で、逃げたお前を捨てているね。
おそらく、奴は君に惚れているんだ」
「ザンパノが・・・ 私に?」
「変かい?奴は犬みたいなもんだ。
お前に話しかけたいのに、吠える事しか知らないんだよ」
「それはかわいそうね」
「そうだね、かわいそうだね。でも、君以外に誰が奴の側にいてあげられるんだい?
俺は無学だけど、何かの本で読んだよ。この世の中にあるものは、
何かの役に立つんだ。例えばこの石ころね」
「どれ?」
「どれでもいいんだ。こんな小石でも、何かの役に立ってるんだよ」
「どんな?」
「それは・・・ 俺なんかに聞いても分かんないよ。神様だけが知っているのさ。
君が生まれる時も死ぬ時も、人間には分かんないことだよ。
俺は小石が何の役に立つかは分かんないけど、何かの役に立ってるんだよ。
もしこれが無益なら、すべてが無益さ。空の星だって、俺は同じだと思うよ。
君だって、何かの役に立ってるのさ」
★★★★★
原題:La Strada
やっぱり『ウォーキングデッド』は面白い
2020.12/22 (Tue)
久しぶりに『ウォーキングデッド』を観た。うちでは観られないのでAmazonプライムに入っているナッチャンちで観せてもらった。
観たのは配信されているうちの最後の分、シーズン10の第16話。

うわぁ〜、毎度のことだけど息が詰まる展開でじっとして観てらんない。
観ながら立ったり座ったり、クッションを羽交い締めにしたり、
勢い余ってもんどり打ちゃいそう。一難去ってまた一難。
でも、最悪な奴とウォーカーの群れを退治できてよかった!
そして久しぶりのマギーとの再会。ゲイブリエルとマギー、二人のハグ。
私は思わず自分の肩を一人ハグ。会いたかったよ〜ん。
しかし、最後の最後でステファニーとの待ち合わせ場所へ行ったユージーン達が
ストームトルーパーみたいな兵士たちに取り囲まれるという予想外の事態に!!

あぁ、続きが早く観たい!シーズン10の最終話は第16話の予定だったのが
新たに6話追加され全22話になるんだって。3月から放送スタート。
エピソードが増えるのは大歓迎。嬉しい。
でも、この長いドラマもシーズン11でとうとう終わりとなるらしい。
最終シーズンのシーズン11(全24話)は、2021年後半から2022年にかけて放送予定。
う〜ん、寂しいやら、全ての顛末がわかって早く安心したいやら、複雑。
でもま、再来年までは楽しめるというわけだ。
そうそう、それにダリルとキャロルに焦点をあてたスピンオフドラマと
『Tales of the Walking Dead』というアンソロジー形式のスピンオフ構想も
あるんだって。
それに3部作構成の劇場版が2021年春にも撮影がスタートするという話じゃないか!
シーズン9でドラマシリーズを去ったリックのその後を描く作品らしい。
こっちもすごく楽しみ。
それなら映画版にも話が絡んでくるらしい現在レンタル&視聴可能なスピンオフ
『フィアー・ザ・ウォーキング・デッド』も観ておこうかなぁ。
あれ〜?結構なんだかんだと観たいものが出てきて2021年は忙しくなりそうじゃないか。
最近、面白いと思う映画が少なくて、今年は昨年の半分も観てない私だったけど
なんだか少しワクワクしてきたなぁ♪
今日の記事はウォーキングデッド好きの私の思いついたまま書いた記事で
観たことのない方にはナンノコッチャでしょうけど
本当に面白いおすすめのドラマなので多くの人に観てほしいです。
ゾンビ系は嫌いよという方は多いのですが、ゾンビなんてね刺身のつまです。
このドラマの見どころは危機的状況の中でのサバイバルと人間模様。
良心とか正義とか勇気とか強さとか、、、そういうことを考えさせられます。
ゾンビより人間の方がよっぽどこわいや、とかね。
興味の湧いた方は是非年末年始にでもウォッチングしてみてね〜。

インセプション
2020.10/27 (Tue)
インセプション (2010年 監督:クリストファー・ノーラン 出演:レオナルド・ディカプリオ、渡辺謙、ジョセフ・ゴードン=レヴィット、マリオン・コティヤール、エレン・ペイジ、トム・ハーディ、キリアン・マーフィー、トム・ベレンジャー、マイケル・ケイン)
先日、『TENET テネット』を観て、その晩には『メメント』を観たら
昔観た『インセプション』をもう一度観直したい気持ちになりました。
今、私の中でクリストファー・ノーラン監督祭り実施中。
10年前に映画館で『インセプション』を観た時、
難しいながらも分かった気になっていましたが
観直してみると、あの時は分かった気になっていただけで
実際はよく分かっていなかったことが分かりました(汗)
今回はDVDで日本語吹替版で観たのですが、こういう複雑な物語は
字幕より吹き替えで観た方が分かりやすいですね。
所詮、字幕の文字数は限られているわけで、英語力のない私には無理がありました。
『TENET テネット』だってDVDが出たら吹替版で見て復習すると
もっとよく話が見えてくるかもしれません。
物語は・・・
コブ(レオナルド・ディカプリオ)は人が夢を見ている最中に
その潜在意識の奥深くにもぐり込んで相手のアイデアを盗む産業スパイである。
相棒のアーサー(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)と共に
実業家サイトー(渡辺謙)の夢に侵入し極秘情報の抜き取り(エクストラクション)を試みる。
しかし、サイトーは「抜き取り屋」のことを熟知しており、
アイデアを守る訓練を受けていた。そのため任務は失敗に終わる。
だが、このことをきっかけにサイトーは、
夢からアイデアを抜き取ることが可能であるならば
アイデアを植え付ける(インセプション)も可能であろうと
コブの妻殺しという殺人容疑を抹消することを見返りに依頼する。
コブは新たに仲間を集め、遂行困難な任務に身を投じるが
妻のモル(マリオン・コティヤール)が夢に現れ・・・
さて、コブは無事任務を遂行して子どもが待つ家へ帰れるでしょうか?!というお話。

難しいです。頭使います。私的にはまだ『TENET』の方が分かりやすいです。
でも、すごく面白い話です。
深層心理に入り込むミッションを遂行するため限られた時間内でターゲットに
夢の中で夢を見せて、さらにまたその夢の中で夢を見せて、三層にも四層にも夢に潜る。
わぁ〜奇想天外。ノーラン監督、天才!
まあね、失敗すれば虚無に落ちて帰ってこられなくなるという危険なミッションに
依頼主サイトーまで同行するか?とか、インセプションされたターゲットが
それで果たして依頼主の思う通りになるのか?とか、
ケチをつけようと思ったら幾つもギモンを挙げることは出来るけど
取り敢えずそんなことどうでもいいやと思えるくらい物語も映像も素晴らしいです。

それにしても夢って本当に不思議ですよね。
一度も行った覚えがない場所へ夢の中で定期的に行ってみたり(←私の夢)
死んでしまって会えない存在に出会えたり、現実では経験し得ないことが起こる。
いっそ夢というならば醒めないでほしいと思うこともあるでしょう。
かと思えば予知夢を見ることもあります。
いったい頭の中で何が起きているのか。
「脳は10%しか使われていない」という話も聞きますよね。
人間の脳はまだ十分に解明されていない未知の領域なんだとか。
数日前にオランダの研究チームが人の喉の奥に未知の臓器を発見した
というニュースがありました。今まで知らなかったなんて驚きです。
脳についてもこれからどんどん新たなことがわかってくるのかも。
そしたら夢だってもっと科学的に説明されていくのかもしれません。
ワクワクしますね。

最後に、そう映画の最後に、コマが回るシーンがあります。
任務を終えたコブが子ども達と再会するのですが、その直前に回したコマが
夢の中ならば永遠と回り続け、現実世界ならばコマはじきに倒れるはずですが・・・
コブが子ども達に会えたのは現実なのか、それともまた夢の中のことなのか
どっちだ?コマは倒れるのか倒れないのか?というところで映画は終わります。
私は10年前に観た時は無情にも回り続けるんじゃないかと思ったのですが
今回は素直にコマは間もなく倒れると思いました。
あなたはどっちだと思いますか?
★★★★★
原題: Inception
TENET テネット
2020.10/19 (Mon)
TENET テネット(2020年 監督:クリストファー・ノーラン 出演:ジョン・デヴィッド・ワシントン、ロバート・パティンソン、エリザベス・デビッキ)
難解らしい。5分で付いていけなくなるらしい。
そんな前評判もあったけれど、観てきましたテネット!
時間の流れを行きつ戻りつするタイムリープものです。
まぁ、確かに難解ではあったけれど、おそれるほどではないです。
でなきゃ「テネる」(テネットを観に行く)という造語が生まれるはずもなく
面白いと思うからこそ確認の為もう一度二度と観に行きたくなるってことですね。
物語は・・・
ウクライナでテロ事件が起こる。
出動したCIA工作員の主人公(ジョン・デヴィッド・ワシントン)は捕らえられ自決薬を飲む。
しかし、それは実は睡眠薬であり、目を覚ますと見知らぬ船にいた。
その後、未来から「時間の逆行」と呼ばれる装置でやって来た敵と戦うミッションを
与えられた彼は、第3次世界大戦開戦の阻止に立ち上がる
・・・というお話。
ざっくり過ぎる?(笑)
えーと、では、そうですね・・・
私は、ドラゴンボールとターミネーターを合わせたような話だなぁと思ったのですね。
なぜドラゴンボールなのかというと、未来人の科学者が製造したアルゴリズム兵器が
9つに分割して過去(現代のこと)に隠されているんですね。
それを未来人の悪い奴らが集めて完成させようと探すところが似ていると思ったから〜。
そして、未来からそれを阻止しようと現れたのがTENETの人達で
そこのところはまるでターミネーターみたいじゃないか〜、と。
ああ、もうこれ以上書くとネタバレになる・・・と言うより上記以上のことを書いても
観なきゃ何のことやらわからないと思いますので書きませんよ。
劇中のセリフにもあったけど「考えるより感じろ」を求められる映画なのかも。
何が起きているのかよく分からないという戸惑いも主人公と一緒に体感してください。
とは言っても、時間を激しく行きつ戻りつする話なので
どうしても頭で考えて物語に付いていこうとしちゃうんですけどね。
タイムリープものが好きな方はきっとワクワクすると思います。
一度観て理解が追いつかなくても鑑賞後にあれはどういうこと?と考察するのも楽しいです。
パズルは難しいほど解き甲斐がある。
そして出来れば是非、映画館で観てほしい。
旅客機が追突するシーンやカーチェイスは大画面で観た方が大迫力だと思うし、
何よりあの全編を流れる音楽やら音響効果やら聴いているだけでドキドキして
興奮の中あっという間に2時間半が過ぎてしまいました。

出演していた俳優陣は、よく知らない人ばかりでしたが、かえって
その方がこういう映画ってリアリティを感じます(リアリティから遠い話なだけに)
特に、名前のない主人公(本当に名前が出てこない。名前で呼ばれないの!)を演じた
ジョン・デヴィッド・ワシントンは、デンゼル・ワシントンの息子だそうですが、
正直、そんなに格好良くもないし、華があるとも思えない・・・けど、
そこがこの名前のない男を演じるのにぴったりだと思わせる辺りがキャスティングの妙?
逆に、彼の相棒のニールを演じたロバート・パティンソンは見た目から素敵で、
役柄も主人公を何くれとなく助ける好青年で、観ている側に
よし、彼と一緒に主人公について行こう!という気にさせるポジションでした。
彼は『ハリー・ポッター』や『トワイライト』(私は未見)にも出ていたようですが
ノーマークでした。今後気をつけて拝見いたします。
ノーラン監督作品は、『インセプション』にしろ『インターステラー』にしろ、
ちょっと哲学的な部分があって難解なところもあるけど好きだなぁ。
もっと深くノーラン作品を知りたくなって映画を観たその晩に『メメント』を観た私です。
出世作であり代表作の一つと言われるだけあって、これも面白かった!
物語を終わりから始まりへと時系列を逆向きに映し出していくという形式は
どこか『TENET』を彷彿させました。ノーラン監督、この人すごいわ。
★★★★★
原題:Tenet
