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エリザベス
2014.09/20 (Sat)
エリザベス (1998年 監督:シェカール・カプール 出演:ケイト・ブランシェット、ジョセフ・ファインズ、ジェフリー・ラッシュ)
昨日、スコットランドのイギリスからの分離、独立の是非を問う住民投票が行われ、
結果、反対多数で否決されました。
なぜスコットランドがわざわざ独立?歴史オンチの私にはさっぱり理解出来なくて、
イギリスの単なる一地方としか見ていなかったスコットランドが独立なんて、
日本で言えば関西が「うちら独立したいねん」と言っているように聞こえて
「え〜?なんで〜?」てなかんじでした。
もちろん、イギリスはイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの
4つで成っているというのは基礎知識として知ってはいましたが、
それ以上のことを知らないものだから頭の中ハテナ?でいっぱいでした。
でも、今回のこの住民投票のニュースをきっかけにいろいろ読むと、
上記4つの地方(United Kingdomだから「カントリー」とよぶべき?)は、
もともと民族も違えば宗教も微妙に違うんだということがわかってきて、
さらに歴史を紐解けば遠い昔に戦争もあり根が深い部分もあるようだと知りました。
それで、この機会だからイギリス歴史にからむ映画を観てみたいと思い、
映画カッパさんが紹介していらしたスコットランド独立と開放の戦いを描いた歴史映画
「ブレイブハート」を鑑賞したかったのですが、
いろいろと諸般の事情で「エリザベス」になりました。
さて、この作品は歴史映画でありますが(やっと映画の話)
舞台はカトリックとプロテスタントの争いが激化する、16世紀のイングランド。
エリザベス(ケイト・ブランシェット)は、腹違いの姉で、
彼女をロンドン塔に幽閉したメアリー女王の崩御後、
世継ぎとして弱冠25歳の若さでイングランド女王に即位します。
エリザベスには愛する恋人ロバート(ジョセフ・ファインズ)がいますが、
周囲は女王の立場をわきまえて関係の緊迫した隣国との政略結婚するよう迫ります。
しかし、エリザベスは、政略結婚に活路を見出すことはできません。
イングランドの国としての状態もかんばしくはなく、
縁戚関係にもある隣国スコットランドとの戦争にも敗れてしまいます。
エリザベスの周りでは様々な謀略が渦巻き絶えず命を狙われます。
そんな苦悩が続く中、カトリックの最高権力・ローマ法王による謀反計画を知った
エリザベスは対抗権力の粛清を行います・・・
物語の冒頭から処刑シーンで始まり、最後まで緊張感が途切れない作品でした。
エリザベスの身の上に次々謀略が起こり、絶えず生命の危機の中にあるので、
観ていてずっとハラハラし通しです。
プリンセスやクィーンというと優雅なお姫様を連想しますが、
とてもそんなおっとりした暮らしではありません。
生活面でいえば夜なんて石造りの城の中でロウソクの灯火のもとで過ごすんですよ。
おどろおどろしいったらありゃしない。
それに、当時の王族は、明日どう状況が転んで幽閉されたり命を奪われるか
わかったもんじゃない人生だったんですね。
邪魔になったら「消す」そんな世界です。
実際、エリザベスの実母アン・ブーリンも、夫でありエリザベスの父親でもある
英国王ヘンリー8世に処刑されました。あ〜空恐ろしや。
イギリスには鉄の女サッチャーさんがいましたが、
イギリスはもともと女性が強い国なのでしょうか。
エリザベスも強い女性で一癖も二癖もある臣下たちに懐柔されることなく
自分の意志を貫いて、仕舞いには恋人とも絶縁し、国家と結婚すると誓い
生涯独身でエリザベスI世として国を治めたのでした。
エリザベスを演じたケイト・ブランシェットはこの時、
まだ名前が知られていない女優だったそうですが、
彼女は見た目の華やかさや美貌が抜群というわけではないのですが、
この作品に合っていると思いました。
妾の子的な(妾ではないけどね)日陰な存在で、最初幽閉されもして
弱い立場だったエリザベスがどんどんたくましくなって女王らしくなっていく姿を
素晴らしく見事に演じています。
この作品は第71回アカデミー賞では作品賞を始めとする7部門にノミネートされ、
メイクアップ賞を受賞しました。ドレスやヘアスタイルなど、とても素敵です。
この作品の続編に「エリザベス/ゴールデン・エイジ」があるそうです。
同じく重厚な出来なのかしら?
こちらも機会があれば観てみたいなと思いました。
歴史物お好きな方にはオススメです。
原題:ELIZABETH ★★★★☆
