第9地区
2016.06/01 (Wed)
第9地区 (2009年 監督:ニール・ブロムカンプ 出演:シャールト・コプリー)
いや〜、おもしろかった〜!こんな映画観たことないよ〜。
地球に難民としてやってきたエイリアンと、それを抑圧する人類とを
ドキュメンタリー風に描いた作品なんだけど、
冒頭から巨大UFOがヨハネスブルグ上空に覆い被さる光景に目を引きつけられたし、
ニュースやインタビューをたくさん差し込んだ演出には一体なにが起きたの?
と映画の中に引き込まれました。
どんな内容かというと・・・
ある日、南アフリカのヨハネスブルク上空に巨大な宇宙船が出現した。
しかし、上空で静止した宇宙船からは応答もなく乗員も降りてこない。
人類は宇宙船に乗船しての調査を行うが、調査隊が発見したのは、
支配層の死亡と宇宙船の故障によりヨレヨレになった大勢のエイリアンであった。
攻撃もしてこない彼らを人道的措置から救助し、住む場所を与え、
隔離地区である「第9地区」で難民として
超国家機関MNU (英:Multi-National United)による管理・監視のもとで
生活させることになった。
しかし、文化や外見の違いから人間とエイリアン達との間では小競り合いが頻発する。
人間達のエイリアンへの反発や差別は強まり、
やがてエイリアンを「エビ」(外見がエビに似ている)という蔑称で呼ぶようになった。
彼らが出現してから28年(!)経ち、第9地区がスラム化してきたことにより、
超国家機関MNUは難民の強制収容所移住計画を立てる。
MNU職員のヴィカス(シャールト・コプリー)は、立ち退き要請の同意を得るため
第9地区を訪れるが、エイリアンの家で見つけた謎の液体を不注意により浴びてしまう。
すると・・・というお話。

物語全体の流れは予想通りに展開していくんだけど、それを差し引いても面白い。
舞台がまず南アフリカ共和国で、アパルトヘイトを連想させるとこが風刺が利いていて
(もちろん監督はそれを狙って撮っていますが)
エイリアンのエビ!と罵りたくなる風貌の気持ち悪さと彼らの粗暴さや、
(ふつうエイリアンといえば高度な知的生命体だよね?!)
中間管理職のお役人的な主人公の滑稽さなど、
あちこちブラックな味がして、とても好きですね(笑)
この映画は、ブロムカンプ監督の長編映画デビュー作品。
(『エリジウム』(2013)もブロムカンプ監督作品)
彼は18歳までヨハネスブルクで過ごした経歴があって、
この作品はアパルトヘイト時代に起きたケープタウン第6地区からの強制移住政策を
題材にしているそうです。
またDVDの特典映像の中で彼は、紛争の多い周辺国から避難してきた難民と
南アフリカネイティブとの確執や葛藤も参考にしたと語っています。
とはいえ、決して政治色の強い作品ではなく、
どこかユーモラスなエイリアンの姿や後半のアクションシーンは観ていて
お馬鹿な映画だな〜と笑えます。
う〜ん、この映画の魅力は、ひょっとしたら
エイリアンや超国家機関や難民強制収容所など私たちが従来想像するところのイメージとの
ギャップの大きさにあるのかもしれないな〜。
全体の流れは予想通りでも、ディテールの意外性が可笑しく面白い。
「3年後」を約束して故郷をめざしたエビちゃん、彼は約束通りに戻ってくるのかしら?
映画公開からずいぶん経つけど、続編『第10地区』は製作されないのかな〜。
観たいな〜。その前にブロムカンプ監督の『チャッピー』を観ておこうかな。
この『第9地区』は、映画好きのアナタに是非観ておいていただきたい作品です。
★★★★☆
原題: District 9
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もちろん、観ましたよ。
この作品の魅力は、バリバリのCGではありますがもったいぶってなくて、
報道映像みたいにサラッとしたタッチなところだと思います。
サラッしてる分、逆にエイリアンの残虐さやコワさが活きていると思います。
ブロムカンプ監督は、新しいSFの作風を見せてくれましたよね。
> 彼は18歳までヨハネスブルクで過ごした経歴があって、
> この作品はアパルトヘイト時代に起きたケープタウン第6地区からの強制移住政策を
> 題材にしているそうです。
> またDVDの特典映像の中で彼は、紛争の多い周辺国から避難してきた難民と
> 南アフリカネイティブとの確執や葛藤も参考にしたと語っています。
↑このことは知らなかったです。
ご教示、ありがとさんですー! - Comment by: つかりこ
| 2016年 06月03日 |