鑑定士と顔のない依頼人
2014.01/04 (Sat)
鑑定士と顔のない依頼人 (2013年 監督:ジュゼッペ・トルナトーレ 出演:ジェフリー・ラッシュ、シルヴィア・フークス、ジム・スタージェス)
「ニュー・シネマ・パラダイス」「海の上のピアニスト」の監督ジュゼッペ・トルナトーレが
久しぶりに撮った作品ということで公開直後に映画館へ向かいました。
ところがナント!昼間の回は満席でチケットが取れず、
その日は別の映画を観ることに(12月26日記事参照)。
上映館が少ないためか、はたまたNHKで紹介されたためか何が理由かはわかりませんが、
チケットが買えないことってここ最近なかったな~凄い人気だな~と思いつつ約2週間後再チャレンジ。
どれだけ混んでいるのかと恐れつつ行ってみたら、ナント!今度はガラガラ。
え~?!どうなってるの??リピーターは1,000円で鑑賞いただけますとの貼り紙もあったのですが?
まあ、それはともかく鑑賞いたしました。
う~む・・・最後にどんでん返しのオチがあると聞いてはいましたが・・・う~む、そういう話なのかこの映画は。
これから観ようかなとお考えの方はこの先は読まないでくださいね。
ざっくりと映画の筋を書きますと・・
天才的な審美眼を持つ美術品鑑定士かつオークショニアのヴァージル(ジェフリー・ラッシュ)は、
かなりの変わり者で、常に手袋をし(他人の触れた物が触れない)、人づきあいも悪い、
いきつけのレストランでは自分専用の食器で料理を食べる。変わり者を通り越して病的な感じさえする人物。
そして、肖像画コレクターの彼は、自宅の秘密の収集部屋に無数の美女の肖像画を飾り悦に入っている。
実生活で生身の女性を知らない彼はそうすることで心の隙間を埋めているかのようである。
そんな彼の元へ資産家の両親が残した絵画や家具を査定してほしいという依頼が入り、
ある屋敷に行ってみるが、依頼人の女性クレア(シルヴィア・フークス)は屋敷内の隠し部屋にこもったまま
声で指示するばかりで姿を見せようとしない。
しかし、ある日、ヴァージルは我慢できずに覗き見し、クレアの美しさに心を奪われる。
女性を知らなかった初老のヴァージルが恋をし結ばれ人生の喜びを知った、と思われたのだが、
実はその“女性クレア”“恋愛”こそが贋作で破滅への道をたどる・・・
というお話です。
大どんでん返しというのは、実はヴァージルが親しくしていた人物を含む詐欺グループがすべてを仕組み
彼を陥れて彼のコレクションをかっさらっていったという点。
まさかこの作品がこういうオチで終わるとは予想していなかったので、期待を裏切られました。
が、一本とられた!って意味では嬉しいような気もしなくはない。
感想としては鑑賞直後は、初老の男性が若い女に騙されて可哀想に~切ないわ~老いらくの恋は危険ね~やれやれ~と思ったものです。
しかし、美術品鑑定の際に「贋物のなかにも真実がある」と考えていたヴァージルが、
彼を騙したクレアの中に真実の愛の欠片を見付けたのか?彼は彼女にまた会える可能性にかけて
クレアが語っていた店「ナイト&デイ」(まさに昼も夜も!)で彼女を待ち続ける日々を送るのです。
鑑賞後ずいぶん時間が経った今、その姿を思い出すとガンバレヨと言ってあげたくなる自分がいます。
だって、失ったものは大きくても何も無いより幸せな思い出は有った方がいいよね、人生は。
「ニュー・シネマ・パラダイス」や「海の上のピアニスト」とはちょっと違った
モヤモヤとした気分で終わる映画でしたが見応えはあります。
そうそう、映画が終わってお客さんが部屋を出るとき、
ある一人の御老人(男性)が「なんちゅう映画や~」と言いながら係のお兄ちゃんの前を通ったら、
係のお兄ちゃんが「はい、こちらは『鑑定士と顔のない依頼人』という映画でございます」
とズレたことを言っていたのを目撃し苦笑してしまいました。
お兄ちゃん、御老人はそういう意味でつぶやいたんじゃないってば!身に染みたんだよ~ん(たぶん?笑)
原題:LA MIGLIORE OFFERTA/THE BEST OFFER ★★★★☆
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